真の先進国

先進国の条件とは何か。20世紀的基準によれば、国富の規模が大きいことであった。それゆえ、資本主義か社会主義かを問わず、諸国は国富の量的拡大を目指して競い合った。

これに対して21世紀的基準による先進国とは、生活水準が高い国である。生活水準が高いといっても単純に所得水準が高いことではない。量的な所得倍増は国富の拡大のおこぼれにすぎない。

21世紀的な意味での生活水準の高さとは、生きるうえでのバリアーがセロではないにせよ、最小限であることだ。

生きるうえでのバリアーは、傷病、老化や失業、破産などによって生じる。そうした場合のバリアーを最小限に抑える方法としては、さしあたり社会保障と民間福祉がある。

この点、現在の日本では社会保障は一通りラインナップが揃っているように見える。だが実際には中途半端であったり、杓子定規な規則に縛られていたり、国の統一的な制度として確立されておらず、自治体ごとにばらばらであったり、と使い勝手が悪いこと甚だしい。

生活保護に代表される社会扶助については元来弱い。弱いものをさらに制度の縮小・制限によりいっそう弱めようとしている。

社会保障を補う民間福祉は、寄付文化が根付いていないことから福祉団体はみな財政難に悩み、十分に稼動できない。

このように見てくると、GDP世界第三位の日本は21世紀的基準による限り、すでに先進国とは言い難いのではないか。真の先進国とは何か、20世紀的基準を離れて検証されたい。
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