最小限監視社会

2213年6月10日

前回、未来社会は決して厳しい監視・統制社会ではないと書きました。実際、物品供給所でも内部に監視カメラは設置されていません。監視カメラは公共的な場所への出入りチェックが中心で、街頭カメラもゼロではありませんが、設置場所や台数に法的な制限がかけられています。個人による防犯カメラの設置は自宅への取り付けに限り認められます。

総じて未来社会の監視活動は最小限に抑えられている印象を受けます。こうした最小限監視社会の実現にあたっては、保安ロボットの活用のようなセキュリティ技術の向上も寄与していますが、そもそも監視しなければならない犯罪行為自体がまれであるという現実があります。

資本主義時代の犯罪の大半はカネにまつわるものでした。殺人のような生命犯ですらもどこかでカネが絡んでいることは資本主義社会に生きる者にとっては常識でしょう。資本主義社会では利欲的動機が犯罪行為の大半を支配するわけです。

しかし貨幣交換システムの廃止は、こうした人間を時として究極の犯罪にさえ走らせる利欲を抑制し、犯罪を激減させました。人々は監視カメラの際限なき増設ではなく、貨幣の廃止こそ究極の防犯対策であることを知ったのです。

未来社会では犯罪に対する不安から監視カメラの増設が際限なく進行していくような「防犯パニック」現象は全く見られません。監視カメラの法的制限に関しても異論がほとんど聞かれないのはそのためです。ただ、残念ながら今でも少数の犯罪は発生するため、必要最小限度の監視システムは保持されているわけです。

もっとも、およそ監視活動に反対というような徹底した反・監視社会論者であれば、保安ロボットですらおぞましいということになるかもしれませんが、最小限の規律ある監視活動は受け入れることができるという者にとっては、おおむね理想状態が保たれていると言えるのではないかと思います。
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by komunisto | 2013-06-10 10:46 | 社会