選挙なき民主主義

2213年7月4日

2013年7月4日の日本では、参議院選挙が告示されました。改憲派が参議院も席巻するかどうかが焦点のこの選挙は、戦後日本の時代を画する重要な選挙になったと、未来社会の歴史書には記述されています。

ところで、23世紀未来社会の政治についてはまだご報告していませんでした。実は未来社会に選挙はありません。すると、独裁体制なのか。そうではありません。未来社会の政治の中心は「民衆会議」と呼ばれる一種の議会です。

この「民衆会議」は中央と地方に相似的な形で置かれており、中央のものは「中央民衆会議」といい、旧社会の国会に相当します。地方議会に相当するのは、地方自治体の「民衆会議」です。

ただ、「民衆会議」が旧社会の国会・地方議会と決定的に異なるのは、「民衆会議」のメンバーたる代議員は選挙でなく、くじ引きで選ばれることです。くじ引きといっても、全くのランダムではなく、代議員免許を持つ人の中から抽選されるのです。

代議員免許とは代議員免許試験に合格した人に与えられる代議員資格のことで、その試験は代議員として必要な素養を幅広く問う統一試験ですが、難易度は各種の専門資格試験に比べると容易で、誰でもその気になって勉強すれば、三回以内の受験で合格すると言われています。

抽選制のため、選挙制のようにカネとコネを握る大政党のボスが何十年も連続して当選し続けることはなく、政治が世襲されることもあり得ないばかりか、そもそも政治は職業ですらなく、免許制に基づく市民の任務となっているのです。

未来社会にも政党は存在するのですが、政党単位で「民衆会議」に参加することはできない仕組みのため、未来社会の政党とは政治クラブのようなものにすぎません。

それにしても選挙なしで不満はないのか、知人に聞いてみたところ、「選挙なんて学校の生徒会ならいいが、大人のすることではない」と笑っていました。未来社会の人たちにとって、選挙は子どもじみていると映るようです。

逆に、旧社会の人たちにとってはなかなか素直に納得しにくいことですが、未来社会では選挙なしの民主主義がしっかりと成り立っているのです。

ちなみに23世紀未来社会には大統領も首相も、またかれらの手足となる官僚も存在しないのですが、このように政府機構を持たない未来社会の興味深い行政についてはまたの機会にご報告することにしましょう。
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by komunisto | 2013-07-04 10:23 | 政治