自由な世界旅行

2213年7月13日

旅行好きの人にとって、200年後の未来世界は天国でしょう。というのも、未来世界には「国境」という観念がないため、世界旅行は原則的にフリーパスだからです。つまり、ビザなしで世界中どこでも旅行でき、入国審査に当たる面倒な手続もないのです。

このようなことが可能なのは、未来世界にはそもそも「国家」という政治的な枠組みが存在しないからです。といって、世界が完全に一つになったわけではないのですが、旧世界で「国家」と呼ばれていた政治単位は、今「領域圏」と呼ばれるより緩やかな単位に変化しています。例えば、日本は「日本国」ではなく、「日本領域圏」です。

こうした領域圏が統合されて「世界共同体」という一つの包括的な政治単位が構築されています。これは旧世界の「国際連合」(国連)の後身と考えても間違いありませんが、国連はその名のとおり、あくまでも独立国家の連合にすぎなかったのに対し、「世界共同体」は単一の政治単位です。

現在、世界共同体は70個ほどの領域圏で構成され、各領域圏は世界共同体の総会でそれぞれ平等に一票を持ちます。各領域圏には一定の内政自治権が留保されていますが、それも世界共同体の政策と条約の範囲内でのことであり、もはや排他的な主権は有していません。

このように今や、世界はほぼ一つになったのです。そのために世界旅行の自由も大幅に増したわけです。とはいえ、人が何の制約もなく移動できた先史時代とは違います。

空・海港での出入審査は大幅に簡略化されてはいますが、逃亡犯罪人検挙のための指紋照合や違法物資の所持チェックは受けなければなりません。また貨幣貿易が全世界で廃され、貿易に不可欠の税関審査がない反面、環境保護のための検疫はより厳格化されています。

こうした社会秩序の維持や環境保全を目的とする必要最小限度のチェック体制を考慮しても、世界旅行の自由が格段に拡大されたことは事実です。世界旅行の自由にとって高い壁となっていたのは、「国家」であったことが改めて実感されます。
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by komunisto | 2013-07-13 10:45 | 政治