資本主義復活運動

2213年10月8日

23世紀の現在、世界が共産主義化されてもう1世紀近く経過しており、私のように旧世界からタイムマシンで飛んできた少数の人間を除き、100歳を超えた古老でも資本主義時代はまだ幼少で、ほとんど記憶に残っていないという時代です。

そういう時代にあって、資本主義への回帰を訴える運動も一部に存在します。先日、そうした運動に関わる人の話を聞く機会がありました。彼は50歳代ですから、生まれた時から共産主義社会で生きている人です。

その彼の意見では、資本主義時代のほうが自由かつ豊かであったというのです。当時は、資本家・経営者が自由な発想に基づいて多様なビジネスを展開し、投資家は財産の投資先を自由に選択し、運用できた。消費者は資本制企業が市場競争の中で開発・提供する豊富な商品・サービスを自由に選択購入し、自分らしい生活を楽しむことができた。そうした自由と豊かさを奪い取ったのが共産主義である、と。

しかし、資本主義時代の労働はしばしば過酷な労働条件に縛られた搾取的なもので、ひとたび貧困に陥れば豊富な商品・サービスも入手できず、生活苦にあえぐこととなり、運にも見放されれば野宿生活にすら落ち込んだのでしたが?

彼によればしかし、労働者も一念発起し、努力すれば条件のよりよい職を得られたし、運も味方につければ資本家・経営者に転身することもできた。貧困者は保護制度で救済され、再起するチャンスが与えられていた(それはどうでしょうか)。そうした個人の努力可能性を封じ、山も谷もない人生を押し付け、怠け者でも食っていける堕落社会を作り出したのが共産主義である、と。

しかし、資本主義は地球環境問題を解決することがついにできず、破局的な地球環境危機を招いたことが革命の要因でもあったのでは?

彼によればしかし、地球環境はわれわれの想像以上に強靭なのであって、資本主義的生産活動によって持続不能なほどに害されることはなく、環境危機を招いた主因は地球そのものに内在するものであったというのです。

さて、人間は経験したことのない世界を闇雲に理想化しがちですが、彼もまたその一人のようです。彼の言い分にはいくらか理もあることは認めますが、山から谷へ転落することもあり得た不安な時代を経験した私にはいささかナイーブなものに感じられました。
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by komunisto | 2013-10-08 13:58 | 経済