政府なき行政

2213年11月7日

23世紀の国会・地方議会に相当するのは、民衆会議と呼ばれる代議機関です。そのメンバーは代議員免許取得者中からくじ引きで選ばれると述べました。それでは政府や都道府県庁、市町村役場に当たるのは?

存在しないというのが答えとなります。いわゆるお役所の存在に慣れ切った私のような旧世界人にはなかなか腑に落ちないことではあるのですが、23世紀の世界には役所というものが一切が存在しないのです。昔の言葉で言えば、無政府主義です。それでは、日々の行政はどのように?

先の民衆会議自身が行政機関を兼ねているというのが、その答えです。これもなかなかイメージがつかめないのですが、立法府である国会や地方議会自身が行政まで担当すると考えればよいでしょう。そうすると、三権分立は存在しないのか?

イエスです。公権力はすべて民衆会議に集中しています。それでは21世紀の教科書によると独裁的ということになりますが、全くそうではありません。要するに、およそ公権力は民衆の代表機関が担うという「超民主主義」の実践であるとみなされています。

とはいえ、中央・地方ともに複雑多岐にわたる行政をすべて民衆会議単独で担い切れるものではありません。そこで、それぞれの民衆会議ごとに種々の下部機関が設けられ、日常的な行政業務はそうした下部機関が執行します。また民衆会議の立法活動を補佐するための政策情報センターも設けられていますが、これらのセンターはあくまでも調査研究機関であって役所ではないので、政策立案には一切タッチしません。

ちなみにかつて大統領や首相、地方なら知事や市町村長などと呼ばれた行政の長たちも、23世紀の世界にはもはや存在しません。強いて言えば中央・地方それぞれの民衆会議議長が行政の長でもあるのですが、そういう言い方すら聞かれません。また政府の閣僚に相当するのは、中央民衆会議の各委員会委員長です。通常は正副議長及び全委員長で「政務理事会」を構成し、これが閣議に当たります。

それにしても、日頃一般人が足を踏み入れることのない中央省庁ならともかく、市町村役場も存在しないのではかえって不便ではないかと思うのですが、代わりに各地区ごとに住民サービスセンターがあり、ここで相談や簡単な手続きができます。基本的には全オンライン処理ですので、例えば住民票もオンライン請求でプリントアウトもしくは郵送で入手でき、簡便です。

これはまた別の機会にご紹介しますが、現在18歳以上のすべての住民に行政サービス専用端末が支給されており、これを使ってほぼすべての行政手続きをオンライン上でまかなうことができてしまうのです。
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by komunisto | 2013-11-07 13:45 | 政治