人増やし

2213年11月10日

21世紀の世界から23世紀に飛んできて不思議に思ったことの一つは、23世紀の労働人口は21世紀より減少しているにもかかわらず、企業をはじめとする様々な組織体には働いている人がやたらに多く見えることでした。

実際、組織体のメンバー、職員数は多いのです。例えば、国会に相当する中央民衆会議の代議員は2000人もいます。これはかつての国会議員の3倍近い数字です。その他、下部機関の職員を含めると、1万人以上が中央民衆会議で働いています。

企業でも特にサービス業界の人員は多く、スーパーに当たる物品供給所などでもコーナーごとに人が配置される昔のスタイルが復活しているようですし、路面電車や路線バスでもとうに廃止されていたはずの車掌が乗務するのが通常です。

これには理由があり、今や組織体では「人減らし」ならぬ「人増やし」が合理的な経営方針とみなされているからです。

資本主義時代は人件費節約が至上命令でした。要するに少ない労働者を安い賃金で目いっぱい働かせて利益を搾り出すという経営方針こそが合理的とされていたのです。

しかし、人口減の中での共産主義的経営は労働者を無賃でできるだけ多く、ゆとりをもって使って社会的必要を充たすことが合理的とされ、いわゆる「ワークシェアリング」が、そういう用語も死語となるほどに常識です。

労働者がだぶついているように見えるのも、分業体制が高度で、かつ短時間勤務のシフト回転が頻繁だからです。これによって労災や過労死を防止する効果も得られると考えられています。

どちらが真に合理的かは一概に言えないかもしれません。資本主義で「人増やし」ができるのはよほどの好況かつ成長局面においてだけですが、それとて資本主義に付き物の景気循環でいつ不況に襲われるか確実に予測できない中では、「人減らし」のほうが合理的とも言えます。

しかし社会的コストの点から見れば、「人減らし」によって職にあぶれた人を失業保険や生活保護といった「セーフティーネット」で救済し、救済し切れなければホームレス化という資本主義は決して効率的とは言えませんでした。

基本的な衣食住が無償で充足される23世紀の経済社会では失業保険も生活保護も必要なく、ホームレス化もないということでは、一見非効率に見えて社会的コストは高度に節約されている点で効率的と評し得るように思われます。
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by komunisto | 2013-11-10 09:04 | 経済