大地は無主物(1)

2213年12月9日

かつて土地を巡る争いは、法的紛争の王様でした。23世紀の現在、こうした土地紛争は存在しません。理由は簡単で、現在土地は誰の物でもない、すなわち野生の動植物と同様に無主物だからです。

このような発想は、旧人類には新鮮に響きます。かつて社会主義体制を自称した国の中には土地を国有化したものもありましたが、土地を無主物とした国は聞いたことがありませんでした。

「土地は私有か公有かは別としても、必ず何者かに属しているべきだ」という固定観念を、未来人は「地球上の大地は野生動物と同様、何者にも属しているべきでない」という簡明な定理によって見事に克服してみせたのでした。

土地は国を含めて何者にも属しないということは、要するに誰も土地の排他的所有権を主張することはできないということです。従って、土地を巡る紛争はなくなります。とはいえ、誰の物でもない土地をどのようにして管理しているのでしょうか。

この点はやや複雑で、土地所有権は認められないものの、土地管理権についてはかつての国に相当する領域圏に一括帰属しており、旧国土庁と不動産登記所を併せたような「土地管理機構」という公的機関が一括して全土の土地を管理しています。この機構は、土地の不法占有のような経済犯罪に対する優先捜査権まで付与された強力な管理機関です。

前回、個人の住宅の敷地面積に制限があると報告しましたが、住宅は所有できてもその敷地は所有できないため、住宅を建てるには敷地利用権を先の機構との間で設定しなければなりません。その敷地利用面積に上限があるわけです。こうした敷地利用制限は個人の住宅以外の建造物についても同様です。

かくして23世紀の世界も所有権を否定はしていませんが、所有の範囲を生活必需物資に限定することによって、所有を巡る無用の紛争の発生を未然に防ぐ知恵を編み出したのだとも言えるでしょう。
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by komunisto | 2013-12-09 15:31 | 法律