大地は無主物(2)

2213年12月13日

大地といえば、それは個人の所有物であるのみならず―土地の私有を認めない国も一部にありましたが―、国家の領土でもあることがかつては常識でした。23世紀の今、この常識も覆されています。

以前ご報告したとおり、現在の世界秩序は国家ではなく、領域圏というまとまりで構成されているのですが、この領域圏が統治権を及ぼす「領域」とは「領土」のような排他的なものではなく、もっと緩やかなエリアのことです。「大地は無主物」の原則は世界秩序の上でも貫かれているのです。

そのため、かつては戦争の原因として最大級のものであった「領土紛争」―言わば国家間での土地紛争―もありません。とはいえ、世界が完全に一つになったわけでなく、世界共同体(世共)の下でなお領域圏に分かれているならば、「領域」を巡る争いの余地はないのか。

それはあります。ですが、現在領域圏間で領域を巡る争いが起きた場合は、必ず領域圏を束ねる世共の調停を受けなければなりません。その結果、調停案がまとまることが多いですが、まとまらない場合は世共司法裁判所に持ち込まれ、司法的に解決されます。

ただ、調停でも判決でも、領域の帰属をすんなり確定できない場合があります。そうした場合は、政治的な妥協策として、(A)世共もしくは環域圏の信託統治領とする(B)複数の領域圏の共同統治領とするといった方策が講じられます。

こうした制度は日本のように四囲を海に囲まれ、必然的に領域があいまいになりがちな領域圏にとっては、有意義なものです。実際、かつて先鋭な問題となっていた尖閣諸島は現在(A)の方法(世共信託統治領)で、「北方領土」については一部返還、一部(B)の方法で解決を見ています。

こうして領土という観念から脱した23世紀の世界秩序は、争いが起きても戦争に直結しないシステムであるため、「国防」のために軍隊を持つ必要はなく、また「国境」を厳重に警備する必要もないのです。
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by komunisto | 2013-12-13 10:06 | 政治