消えた個人商店

2214年4月19日

23世紀には貨幣交換による商業活動が廃されているため、「商店」が消えるのは当然なのですが、個人で特定物品の無償供給所を運営することは認められています。それでも、こうした特定物品供給所は服飾・宝石関係などの例外的分野にとどまり、かつての八百屋や魚屋のようなものは見られません。

個人商店は前資本主義的な経済の産物ですが、資本主義の時代にも長く生き残り、地域の「商店街」を形成していました。しかし、資本主義の高度化に伴い、巨大小売資本系の大型ショッピング・モールの進出に押され、個人商店は次第に姿を消していきました。

地元でも、すでに私が旧世界を去った21世紀初頭時点で、子ども時代に見慣れた商店街は消滅しつつあったのですが、23世紀の現在、もはや全く見かけません。外見上は、コンビニやスーパー型の物品供給所がすべてです。

今、あえて個人商店に近い存在を探すとすれば、インターネット上の物々交換サイトでしょうか。これはかつての電子商店街の共産版とも言えるもので、個々人がナマものも含め、思い思いの物品を物々交換し合っています。また最近は、バザール式の青空物々交換市も開催されています。

こうした小規模な物々交換を反復継続し専業として行っている人たちも存在し、「交換業者」と呼ばれていますが、さほど多くはなく、かつての小売商人のように一つの階級を形成するほどまとまった存在とは言えません。

共産主義経済は大資本による流通支配を終わらせはしましたが、個人商店の復活にはつながりませんでした。ある意味では、一人で商売する個人商店とは商業の原点であって、貨幣経済の元祖かつ権化だったのかもしれません。それゆえに、貨幣経済の消滅は個人商店の消滅を意味したのです。
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by komunisto | 2014-04-19 12:02 | 経済