音楽より美術

2214年5月19日

23世紀の芸術文化で目につくのは、美術の隆盛です。街を歩くと、あちらこちらにアートが見えます。まるで野外美術館のようです。商業の消滅によって商業的看板が消えた分、こうした野外アートが埋めているようです。 

個人の住宅ですら、美術的になかなか凝った作りのお宅が多く、目の保養になります。またとかく殺風景なことが多かった公共建造物の内部にもアートが満ちていて、利用者の緊張を和らげます。

美術館も、小さなものを含めると地域にたくさんあり、我が家から歩いて行ける距離にも、地元の美術家の作品を展示する小さな美術館があったりします。もっと大きな有名美術館となれば、事前予約しないと入館できない人気ぶりです。

23世紀人はよほど美術好きと見えるのですが、実際、ある調査によると、23世紀人は芸術系の中では音楽より美術を好むという結果が出ているそうです。

もちろん音楽も廃れていないのですが、何万人も動員するコンサートというものは珍しくなっており、小さなホールや野外ステージのコンサートがよく企画されています。

こんなふうに大衆の芸術的嗜好が音楽から美術に移ってきたのも、経済体制の変化と無関係ではないようです。資本主義時代、音楽は興行として一大娯楽ビジネスでしたが、美術のほうは富裕な愛好家・収集家向けの高踏的ビジネスとなっていました。

ところが、貨幣経済が廃された共産主義時代の今、美術品も金銭評価される高額商品ではなくなり、美術は純粋のアートとして身近な芸術となった反面、音楽ビジネスは廃れ、音楽はすぐれて個人的なものになってきたのです。
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by komunisto | 2014-05-19 14:54 | 文化