23世紀的家族像

2214年7月23日

私が旧世界にいた21世紀初頭には核家族化が高度に進行し、家族はせいぜい3、4人の小さなグループに切り刻まれていました。こうした孤立的な核家族モデルは近代的とされる一方で、様々な家族病理現象の発生源ともなっていたものです。保守的な論者の中には、古い大家族制へのノスタルジックな回帰を主張する向きもありました。

実は、あれから200年を経た現在でも、核家族化の基本線は変わっていません。否、むしろ結婚制度廃止・パートナーシップ制移行により核家族化は完全に定着したと言ってよいでしょう。

しかし、そうした中にもある変化が見られます。それは、集合家族現象です。つまり、隣近所の核家族同士がまとまって一つの大家族のようなグループを形成する現象です。集合家族間では家事や育児、時に介護まで融通し合います。 

こうした現象には、共産主義社会で農業を中心とした第一次産業が復権したことが寄与しています。つまり、革命後、都会から帰農する家族が増加し、そうした帰農家族同士が農村で集合家族を形成しているのです。一見すると、古い農村の家族像と似ていますが、現在の集団農業は世襲の家業ではないので、一つの家に数世代が同居する昔の拡大家族とは異なります。  

興味深いのは、農村ばかりでなく、都市部でも同様の現象が観察されることです。都市部でも、4時間労働制や職住近接の定着により、近隣のつながりを通じた集合家族が形成されているのです。特に職住近接は、近所に同じ職場の人が集住することになりやすく、言わば自然にかつての「社宅」のようなものが形成されるわけです。

現在の倍の8時間労働が基本で、そのうえに残業が常態という資本主義時代、都市は寝に帰るだけの「ベッドタウン」と化していたことが、孤立した核家族現象を生んでいたのですが、共産主義はその流れを変えました。

ただ、共産主義的集合家族は前近代的な血縁に基づく大家族の復活ではなく、近代的な核家族モデル自体はこれを維持しながら、核家族を孤立化させず、横につないだのだと言えるでしょう。

とはいえ、孤立型核家族に慣れ切った者には、集合家族はいささかプライバシーが筒抜けのような感もありますが、隣に住む人が誰だかわからない不穏さと「筒抜け」の煩わしさとを比較した場合、前者のほうがいいと一概に言い切れないのではないでしょうか。少なくとも、かつて孤立型核家族の病理に苦しんだ私は後者を支持します。
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by komunisto | 2014-07-23 09:24 | 社会