「自頒機」社会

2214年8月12日

23世紀の社会へ飛んできて最初に目に付いたのは、自販機の多さです。自販機と言えば、かつては飲料販売機が大半でしたが、23世紀の自販機は飲料よりも調味料や衛生用品を含む日用雑貨などの小物類の自販機が多いのです。

ところで、23世紀の「自販機」とは正確には「自頒機」です。なぜなら、基本物資は無償供給が原則となった現在、正式名称は「自動販売機」ならぬ「自動頒布機」だからです。

では、なぜこのように自頒機が多いかというと、貨幣経済が廃されて基本物資の無償供給が原則となったことで、商業店舗というものが消滅し、かつてのスーパーやコンビニに相当する物品供給所での供給だけではまかない切れないため、小物類は供給所へ行かなくとも自頒機で取得できるようにしてあるのです。言わば、無人供給所です。

これらの自頒機は各地方ごとに組織された一種の生協組織である消費事業組合が一括して設置管理しており、個人に管理が委託されることはありません。

こうした自頒機が街のあちらこちらに設置され、一つの街の景観となっています。それでも目障りな感じがしないのは、以前ご報告したように、美術に関心の高い時代ゆえ、自頒機もアート化していて、昔の画一的な四角い機械ではなく、個性的なオブジェ作品となっているので、目の保養にすらなるのです。

ちなみに、これもご報告したとおり、酒・タバコは厳格な規制下にあるため、酒・タバコの自頒機は一切存在しません。酒は許可された飲食供給所で一定時間内での限定供給、タバコは麻薬に準じて全面禁止です。

飲料の自頒機もミネラルウォーターやお茶類に限られ、ジュースの自頒機はありません。ジュースのような糖分を含む飲料は保健指導の行き届いた23世紀には自頒機での供給が禁止され、通常の物品供給所での供給に限られているからです。
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by komunisto | 2014-08-12 07:56 | 経済