多彩なオンブズマン

2214年9月16日

23世紀の裁判所は閑古鳥状態というご報告をしたことがありますが、紛争が全くないわけではありません。ですが、23世紀の社会では紛争を裁判に持ち込まずに解決する方法が充実しています。その一つが、多彩なオンブズマン制度です。

司法機関ではないが、独立性をもって一定の紛争の解決に当たる独任制の監察制度であるオンブズマンは、元来は北欧生まれで、北欧以外の地ではあまり根付いていなかったのですが、現在では二種類のオンブズマンの設置が世界共同体憲章という世界の憲法によって義務づけられています。

一つ目は民衆会議オンブズマンといって、民衆会議が任命するオンブズマンです。国会に当たる中央民衆会議と地方議会に当たる地方自治体レベルの民衆会議ごとに数人ずつ任命され(中央では10人)、民衆会議が所管する全公共機関の監察を聖域なく行なっています。

監察は適宜抜き打ちでも行いますが、苦情処理機関としての役割があり、一般市民からの苦情申立てに基づく監察が軸になります。監察のための調査は原則任意で行なわれますが、対象機関が非協力的な場合は、裁判所の許可を得て、証拠提出命令や召喚も実施します。

調査の結果、問題点があれば、是正勧告を発しますが、司法機関ではないため、強制的な命令は出せません。悪質な事例では関連法規に基づき、捜査機関に告発します。是正勧告後改善が見られない場合は、裁判所に提訴して、より強い是正命令を発令することもあります。

二つ目は人権救済専門のオンブズマンである人権オンブズマンです。これは、人種/民族、性別/性的指向性、障碍、労働、子どもという五つの分野ごとに中央民衆会議によって一名ずつ任命され、独立した立場で人権救済に当たる専門オンブズマンです。

五人のオンブズマンで人権擁護委員会という合議体を構成し、独自の事務局(地方出先機関を含む)と調査スタッフを擁しています。調査方法等は民衆会議オンブズマンに準じますが、人権問題の性質上、是正は命令的であることを原則とする点が違っています。

このほか、任意的に置かれるオンブズマンとして、地方自治体が独自にいじめや体罰など学校問題専門の学校オンブズマンを設置する例が見られるほか、報道界やインターネット業界が共同して設置している報道オンブズマンとかインターネットオンブズマンといった業界オンブズマンの例もあります。

このように、かつてはオンブズマンと言えばほとんどが民間の市民運動でしかなかった日本でも、公式・準公式のオンブズマン制度が根付いているのは、100年前の民衆革命を経て、民衆が主役の真に民主的な社会が形成されたお陰でしょう。
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by komunisto | 2014-09-16 09:57 | 法律