公私峻別社会

2214年11月14日

前回報告した保育の問題を引き継ぐ形になりますが、21世紀には保育園の増設に伴い、園児の遊び声が「騒音」として近隣から苦情化されるという新たな社会問題が生じていました。保育が義務制となり、保育所が診療所より多い23世紀、この問題はどうなっているのでしょうか。

近所の保育園で聞いてみると、住宅が近くまで迫っている園庭などで園児を遊ばせる場合は、あまり騒ぎ声を上げないように指導しているため、騒音苦情はないとのことです。これは、園庭とはいえ、私的空間から一歩外に出たら近隣社会にも配慮するという公私峻別の価値観を保育段階から体得させるという明確な保育方針に基づいているといいます。

実は、こうした公私峻別は23世紀社会では一つの共通した社会のモラルとして定着しています。21世紀にも公私混同はモラル違反として非難されましたが、その一方で公私混同がしばしば役得的に容認される風潮も見られたり、成人でも近隣に配慮せず大騒ぎするような振舞いも見られたところでした。

23世紀の社会には、あらゆる職務において「公私混同・即免職」という厳しい綱紀がありますし、公私混同をチェックするオンブズマンや社内監査なども厳正です。

こうした厳しい公私峻別は、自分たちの社会は自分たちで運営するという広い意味での自治の発想が根付いていることから生まれるようです。何度も報告しているように、23世紀には国家とか政府といった上から個人を管理規律する機構は存在せず、すべてが自治に委ねられるのです。

純粋に私的な領域に公権力は干渉しない反面、何らかの形で社会と接触する場面では、規律ある自己抑制的な振舞いが求められるわけですが、それを綱紀として強制するだけでなく、幼児期の保育でも、遊びの中で公私の別を自然に体得させるという方針には強い感銘を受けました。
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by komunisto | 2014-11-14 09:09 | 社会