文化移民

2215年1月19日

以前の記事で、23世紀は移民不要の時代になったと報告しました。すなわち、貨幣経済の廃止により、貧困国から富裕国へ移住する経済移民の必要がなくなったのでした。

そのため、21世紀の欧州が直面している移民社会と先住国民社会の間の文化摩擦や社会的排除、それを温床とするテロリズムなどの諸問題は、23世紀には想定できません。

とはいえ、移民はゼロというわけでもありません。23世紀の移民は、経済的理由からの移民ではなく、自分が気に入った領域圏に移り住むという、文化的な理由からの移民―文化移民―です。例えば日本が気に入った人が海外から移り住む、反対に海外が気に入った日本人が海外へ移り住むといったものです。

これも以前の別記事で報告したように、地球全域が世界共同体にまとまった23世紀には、国とその境界線を示す国境という概念も制度もなく、簡素な手続きだけで自由に海外渡航できるので、好きなところに行って住むことができます。

同時に、国民国家時代には各国とも外国人の長期滞在・永住に様々なハードルを設け、しかもその政策が国によりまちまちで不統一という煩雑さがありましたが、現在の世界共同体の仕組みにおいては、全領域圏共通の制度のもとに、簡単な登録手続きだけで長期滞在・永住も認められます。

こうした文化移民は好きで移住してきた以上、現地の言語や文化にも深い関心があり、現地社会に溶け込もうとしますから、文化摩擦や排除の問題も起きにくいのです。

貧しいから移民する経済移民から、好きだから移民する文化移民へ―。こうした移民のあり方の歴史的転換の背景には、世界の政治経済構造の根本的な変革があったのです。
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by komunisto | 2015-01-19 14:06 | 社会