23世紀の年功序列

2215年5月7日

23世紀の経済史の本によると、日本社会では永く年功序列が維持されていたところ、21世紀に入ると能力主義が強調されるようになり、徐々に年功序列は崩れていったと説明されています。

2015年の日本はまだ過渡期と思われますが、2050年の日本では年功序列は完全に崩壊していたようです。ところが、2215年の今また年功序列は復活しており、ほぼすべての組織が年功序列によっているとされます。このような復古はなぜ起きたのでしょうか。

ここにはやはり経済体制の変化が絡んでいるようです。何度も報告しているように、23世紀は貨幣経済が廃止された共産主義体制をとっております。労働はすべて無償のボランティアにより、23世紀人は労賃というものを全く知りません。

能力主義とは労賃を年功に比例させず、能力に基づかせる方法をいうわけですが、結果として労賃によって定まる職階も年功でなく、能力によることになり、部下より年次が下の上司というものも存在してきます。

これによって、ある種和気あいあいとした雰囲気を特徴とした日本の組織―特に企業組織―は次第に殺伐としたものとなり、労働者のストレス障碍なども急増したと、史書には記されています。競争淘汰的な雰囲気が強まったせいでしょう。

ところが、賃労働が消滅した現在、能力を労賃に反映させることはそもそも想定できません。それでも、能力主義の職階制をとることはなお可能ですが、23世紀にはそういう習慣もないようです。職階も年功によるため、年次が下の上司はまずいません。

ただし、終身雇用習慣は廃れて久しく、転職は普通のことなので、ここで言う年次とは前職場での在職年数なども合算した広い意味での経験年数のことです。

能力主義が称揚されていた頃は、年功序列は組織の活力を失わせるなどと宣伝されていましたが、現在このような批判はありません。むしろ、年功序列は組織の安定と持続を担保し、労働者の心身の健康にも寄与するという効用が説かれています。

能力主義はまさに資本主義的な競争至上主義の哲学を前提とした資本主義的組織論であったのですが、競争ではなく協働を重んじる共産主義的組織論は安定的な年功序列を再発見したのでしょう。
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by komunisto | 2015-05-07 11:22 | 経済