中央民衆会議傍聴記

2215年7月12日

計画経済最前線の経済計画評議会の傍聴に続き、今回は政治的な代表機関である中央民衆会議の傍聴にも行って参りました。経済計画評議会は横浜でしたが、中央民衆会議は名古屋にあるため、リニア高速線を使って、東京から50分ほどです。

以前のたよりでも報告したように、23世紀の東京はもはや政治の中心地ではなく、主として学術都市として機能しています。政治の中心は、日本本土のちょうど中央付近にある名古屋であり、まさに中央民衆会議所在地なのです。

名古屋市郊外にある中央民衆会議議事堂に就いてみると、それは美術館のような外観を持つ巨大なビルで、現在は憲政博物館となっている東京の旧国会議事堂とは大きく異なっていました。一階はレストランやその他の物品供給所が入っていて、21世紀ならちょっとしたショッピングモールのように、一般市民が普通に出入りしているのも、まさに民衆会議にふさわしい光景でした。

中央民衆会議は21世紀までの制度で言えば国会に相当しますが、以前のたよりで報告したとおり、代議員は投票ではなく、有資格者(代議員免許取得者)の中からくじ引きで抽選されます。代議員は地元ボスや学歴エリートではなく、普通の市民の中で免許を持つ人という程度の存在です。

二階の議場に入って早速傍聴すると、代議員は皆私服で、男性でも背広姿はありません。これは実は全世界共通で、以前のたよりでも報告したように23世紀はカジュアル社会だからです。堅苦しさはなく、市民集会のような光景で、これも民衆会議の名にふさわしく思われました。

さらに、旧国会との大きな違いとして、人数が多いことです。定数が2000もあるため、本会議場はまるでコンサートホール並みの広さです。この人数で審議ができるのかと思われますが、実際のところは細かく分けられた小委員会のレベルで実質審議がなされ、本会議は総論的な審議の場ということで成り立っているようです。

小委員会も原則的に公開されていますが、会議室のスペースから裁判のように抽選傍聴制となっています。この日はたまたま空きがあった教育関係の小委員会の一つを傍聴しましたが、ラウンドテーブル方式で活発な討議が行なわれていました。

さらに旧国会との大きな違いとして、女性や障碍を持つ代議員の多さがあります。女性に関してはそもそも定数が男女半数制であるため、2000人のうち1000人は必ず女性となるのです。障碍者の率は特に決まっていませんが、審議資料の点字化など障碍者の参加支援策が格段に充実しているため、自ずと障碍者代議員の数も増えるのだそうです。

中央民衆会議はまさに民衆の代表機関として、社会の縮図のような構成を持っているのです。従って、国会に相当する機関といっても、それはあくまでも形式的な比喩であって、男性富裕層中心の旧国会とは似て非なるものと言ってよいでしょう。
[PR]
by komunisto | 2015-07-12 11:33 | 政治