兵器なき世界

2215年8月5日

米国民を対象とした2015年の米世論調査によると(2015年8月5日東京新聞報道)、日本への原爆投下に関して、44歳以下の年齢層では「誤った判断だった」と答えた人が「正しい判断だった」と回答した人より多いという結果が出たそうです。

全体でも原爆投下を正しかったとする多数意見は46パーセントまで下がったとのこと。200年後の現在から振り返ると、この調査結果は一つの吉兆だったようです。21世紀には想像を超えることでしたが、世界最初の原爆使用国にして、世界最大の核保有国でもあったアメリカでも民衆革命が勃発し、アメリカ合衆国が解体されたことが(旧稿参照)、核兵器廃絶の大きな推進力となったからです。

2年前のたより「軍隊なき世界」からも推察されるとおり、2215年現在、核兵器はもちろん、そもそも兵器自体が存在しません。より正確に言えば、地球上で使用する兵器は存在しないということになります。すなわち、23世紀の兵器は地球外からの攻撃に備えた航空宇宙兵器に限定されています。

ここまで到達する道のりは長かったわけですが、このような兵器なき世界の構築こそ、21世紀末から22世紀初頭にかけての世界連続革命の大きな成果の一つでした。その手始めが、今から100年以上遡る2110年に発効した核兵器全廃条約です。

核兵器廃絶を突破口として、核以外の大量破壊兵器、さらには通常兵器に至るすべての兵器の保有禁止が地球的な規範となったのです。このことは、旧国際連合に代わって世界を束ねる世界共同体の憲章として明文化されています。

ちなみに先に言及した航空宇宙兵器ですが、これは異星からの攻撃といういささかSF的な想定に基づき、世界共同体が共同で製造・保有する共用兵器です。もちろん大量破壊兵器ではなく、防衛的な通常兵器です。その運用は厳格な手続きに従い、世界共同体の航空宇宙警戒軍がこれを行ないますが(上記旧稿参照)、幸い、これまで一度も発動されていません。

識者の中には、信頼できる従来の宇宙研究の結果からみて、地球を攻撃し得る能力を備えた異星人が存在する確率はほぼゼロだとして、こうした共用兵器の廃止を主張する意見もありますが、そこまで徹底した兵器廃絶論はなお一般化していません。

とはいえ、核兵器なき世界の構築さえ、空疎な美辞麗句にとどまり、実のある進展がなかった21世紀に比べれば、こうした23世紀のSF的論議はそれこそ夢のような観があるでしょう。しかし、200年後の人類は確かに兵器なき世界を構築しているのです。
[PR]
by komunisto | 2015-08-05 20:04 | 政治