消費計画経済

2216年1月23月

そちらでは廃棄食品の横流し事件が大きな波紋を呼んでいるようですが、こんな話は23世紀の現在ではあり得ません。なぜなら、現在では消費も計画経済によって適正にコントロールされているからです。

問題になっているような日常食品は、23世紀のシステムでは、消費事業組合と呼ばれる公的組織が一括して分配します。消費事業組合は地方圏(例えば東海地方圏や東北地方圏等々)ごとに設置される協同組織ですが、同時に消費計画機関でもあります。

消費事業組合は、その管轄地方圏の住民なら自動的に加入する仕組みで、住民権の中に組合員資格も組み込まれています。最高議決機関は組合員総会ですが、組合員数が多いため、総代制度が採られています。

消費計画案の策定は第一次的には事業組合の計画委員会が行ないますが、消費計画は中央における3か年計画を参照しつつ、毎年更新される1年計画として策定されます。基本的に地産地消主義のため、地方圏住民の世帯数を基準に日常食の生産量や製品概要が決められます。

製品開発に当たっては、組合員でもある消費者からの企画も募集され、環境や健康に配慮しつつ、栄養士や調理師も加わった開発委員会―その内部は製品の種類ごとに分かれていますが、食料品は食品部が担当―で決定されます。

計画委員会が策定した計画案は組合員総会に上程、審議の末承認されれば、最終的に地方圏の議会に相当する地方圏民衆会議に付託され、承認審査を受けます。そこで承認されれば、諸費計画が正式に発効します。その後、消費計画に基づき、消費事業組合と提携する生産協同組合に委託して生産がなされます。

このように厳密な計画の下に食料品を含む消費財の生産・分配がなされるため、廃棄物も最小限に抑えられ、また廃棄・リサイクルのプロセスも計画的にコントロールされますから、横流しの余地もメリットもありません。

とはいえ、以上はあくまでも冷凍などの既成食品に関するものですが、23世紀の社会では既成食品は比較的消費期限の長い保存食的なものに限られています。社会の仕組みの変革により、食品は再び第一次的な食材を使って各家庭で料理する古来の食習慣が復活してきているので、そちら21世紀ほど既製品に依存していないのです。

というわけで、廃棄食品横流し事件は、料理をしなくなった既製品依存かつ過剰生産の飽食社会という、ある意味では資本主義的な食の異常が引き起こした不祥事でもあると言えるのではないでしょうか。
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by komunisto | 2016-01-23 11:00 | 経済