ホシャクキンって?

2216年2月13日

古い刑事ものドラマ(現在では「時代劇」ジャンル)に興味のある23世紀人からホシャクキン(保釈金)について質問されました。なるほど、貨幣経済が廃止されて久しい時代には、金を払って身柄を解放される制度など想像もつかないのでしょう。

保釈金は、金と身柄を交換するある種公的な身代金みたいなものですが、全面解放ではなく、一定の金を積ませれば釈放されても遠くには逃亡しないだろうという期待も込められていることから、貨幣には間接的な身柄拘束力すらあったのだと改めて思い返しました。

翻って、23世紀には被疑者・被告人の保釈をどのように行なっているのか気になって調べてみました。すると、やはり23世紀らしいやり方をしていました。

まず一番簡単なやり方は、単純に保釈することです。これは取り調べや公判には必ず出頭することを条件に身柄を解放する方法です。ただし、正当な理由なくして出頭しなければ、不出頭罪という罪に問われます。軽い罪の場合は、この方法で処理されます。

次に、週一など定期的に所轄警察署に出頭し、身柄確認するという条件で釈放するやり方があります。三回連続で出頭しないと、不出頭罪に問われます。軽い罪でも逃亡の恐れがありそうな場合や、逆に重い罪でも証拠隠滅の恐れがないような場合は、この方法によるようです。

より厳しいやり方は、監視付き釈放というもので、これはGPS発信機を取り付けて居場所を警察が常時監視するという条件で釈放するものです。対象者が発信機を故意に取り外すと、司法妨害罪という罪に問われます。比較的重い罪の場合は、この方法によります。

一番厳しいやり方は、自宅監置です。これは要するに自宅軟禁のことで、二名以上の警察官が常時自宅周辺で監視し、外出を禁止するという条件での釈放です。この方法は対象者が一人暮らしで、自宅の出入り口が少ないなどの物理的条件を満たす必要があるため、ほとんど行なわれず、通常は先に挙げた三つの方法のいずれかとなるようです。

このように細かく段階的に定められた保釈制度に慣れた23世紀人にとっては、保釈金というものは21世紀人にとっての切腹か何かのように「前近代的」な悪法のように映るようであり、件の質問者に説明しますと、驚き呆れた様子でありました。
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by komunisto | 2016-02-13 08:40 | 司法