子ども養育官について

2216年3月12日

前々回のたより『23世紀の親子関係』が反響を呼び、その中で触れた「子ども養育官」について21世紀の読者から問い合わせが寄せられましたので、その概要を調べてみました。そのご報告です。

まず子ども養育官とは、たよりでも紹介したとおり、子ども館という地域の子ども養育機関に配置される養育の専門官であり、担当地域の基礎教育課程在籍中の17歳までの子ども一人一人に付いて成人するまで家庭外から養育に当たるスタッフです。

子ども館とは、旧児童相談所とは異なり、福祉機関ではなく、市町村が設置する養育機関です。私を含む旧世界の者にはなかなかイメージが沸かないのですが、23世紀は「子どもは社会が育てる」が基本ですから、その理念を生かす最前線がこうした子ども館であり、子ども養育官なのです。

養育官は教員ではなく、全員児童保護士の有資格者ですが、そのうえに養育官としての特別研修を受けた上位有資格者です。かれらは原則として転任することはなく、担当する子どもについては成人するまで一貫して担当します。

一人の養育官が担当する子どもの数は地域により異なりますが、最大限度20人と定められています。そのため、その数は教員よりも多いようです。それだけの数の養育官をよく養成・配置できるものだと思いますが、貨幣経済廃止により自治体も財政的制約を気にする必要がないのです。

養育官の仕事は「第二の親」とも呼ばれるように、本来の親権者とともに、家庭の外から担当する子どもを養育していくことで、担当する子どもとの定期的な面談と随時の相談、時には親権者や学校からの相談も受けます。

これはいわゆる「子育て支援」のような側面サポートとは全く異なり、まさしく「養育」の一貫であるということが特筆されます。ですから、養育官は単に子どもや親から相談に乗るだけではなく、担当する子どもの「メンター」として直接に養育するのです。比喩的に言えば、親と教師の中間のようものでしょうか。

こうした養育官の養育は原則として成人年齢である18歳で終了しますが、必要に応じて、また本人の申し出により、21歳まで延長することができます。実際、正式には養育終了した後も、養育官との関わりが事実上続くケースは珍しくないようです。

ただ、養育に「官」が直接関与することに不安が感じられないこともないのですが、以前のたより『奉仕する公務員』でもご報告したように、23世紀の「官」はかつての「役人」とか「官僚」のイメージとは似て非なるものなのです。

実際、現実の子ども養育官について言えば、私がお会いした近所の子ども館に在籍する方たちは皆、旧世界人が持つ「官」のイメージとは程遠い、ごく普通の市民のような方たちばかりでありました。
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by komunisto | 2016-03-12 11:35 | 社会