23世紀の航空サービス

2216年5月21日

前回も少し触れたように、23世紀の旅客機にはファースト―ビジネス―エコノミーといった座席の等級はなく、原則としてすべてが旧ビジネスに相当する座席で統一されています。そしてもちろん・・・全席無料です。

その代わり、一定の区画を貸切とするサービスがあります。これは一定区画を貸し切って専従の客室乗務員が付くサービスで、当該区画には関係者以外の出入りができない構造になっています。公人や著名人の旅行にはよく利用されるようです。

ただし、これとて、座席の形態はビジネス相当であり、他の一般開放席より特別に上等というわけではなく、主として利用者のプライバシーとセキュリティーを考慮した特別サービスという性格を持ちます。

ちなみに、これとは別に、全席旧ファーストクラス相当の「豪華旅客機」というサービスもあります。これも無料で利用できますから、当然希望者は殺到し、チケットの予約はびっくりするような高倍率での抽選になります。

他方、通称エコノミークラス症候群の病名に使われる不名誉を甘受していた旧エコノミークラスのような詰め込みサービスは存在していません。あれは資本主義時代のコスト削減、薄利多売的な発想で生まれた人体にも不健康なサービスであったのです。

要するに、23世紀の旅客機には、富裕層―中間層―庶民層のような社会の階級をそのまま航空機内に持ち込むような等級付けサービスは存在しないと言えます。

もっとも、以前のたよりでご報告したとおり、商業活動という営為が消滅した23世紀には、高速ながら景色を楽しむ余裕のない旅客機はさほど利用されなくなっており、むしろ客船の人気が高まっていることも事実です。
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by komunisto | 2016-05-21 09:54 | 経済