23世紀世界旅行記(4):べネルクソ連合領域圏

2217年3月16日

アングリーオ〔イングランド〕から北海を渡り、べネルクソ〔ベネルクス〕に移りました。北海渡海は周辺を結ぶ無料乗り放題の客船によりました。以前にもご紹介したとおり、23世紀には船舶という交通手段が復権しており、多くの利用客がありました。窮屈な飛行機とは違う、ゆったりした快適な船旅でした。

べネルクソとはベネルクスのエスペラント読みであり、21世紀人にはベネルクスのほうが馴染みがあるでしょう。ベネルクスとは歴史的に関連の深いベルギー、ネーデルラント(オランダ)、ルクセンブルク三国の緩やかな協力体を出発点としていますが、23世紀には単なる協力体を越えて、単一の領域圏にまとまっているのです。

23世紀のべネルクソ連合領域圏は連邦制に近い構制の領域圏ですから、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクが単純に結合しているのではなく、この三統治体はいったん解体されたうえ、州に近い権限を持った10以上の準領域圏によって再構成されています。代表都市は旧オランダのハーグです。

このような構成になったことで、かつて国を分裂させかねないほど揺れたベルギーの言語分断問題は解決しています。すなわちベルギーを二分したフラマン語(≒オランダ語)地域とフランス語地域の分断・対立関係は、ベルギーという統治体がべネルクソに吸収されたことで止揚されたのです。

そのうえで、べネルクソは世界公用語であるエスペラントを連合全体の公用語ともしています。もっとも地元における日常会話に際しては、それぞれの伝統的な言語が依然として使用されており、そのことが権利としても保障されているとのこと。

ちなみにベルギー、オランダ、ルクセンブルクはそれぞれ独立国だった時代には英国と並ぶ立憲君主制(ルクセンブルクは大公制)を採るという共通項もありましたが、現在では英国と同様、王ないし大公は歴史文化的象徴としての形式的称号にとどまっています。

また旧ベルギーのブリュッセルはかつて旧欧州連合の中心地でしたが、今日では欧州及び旧ロシア・シベリアを大きく包摂する経済協力体であるエウローポ‐シベリーオ〔ヨーロッパ‐シベリア〕環域圏の民衆会議をはじめとする主要機関の所在地でもあり、歴史的に民際性の豊かな土地柄であることは変わっていません。

個人的にはかつて人口50万人ほどのミニ国家だった旧ルクセンブルクに興味があり、集中的に回ってみました。ここは古城がいくつも保存されているべネルクソ域内有数の歴史地域でもあります。同時にフランツィーオ〔フランス〕とゲルマニーオ〔ドイツ〕への入り口もあるのですが、さてどちらへ赴くか、まだ考え中です。
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