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2214年8月27日

21世紀の世界では新型インフルエンザ、コロナウィルス、エボラ出血熱等々毎年のように新しい国際感染症対策に追われていますが、200年後の23世紀の世界ではどうなっているのでしょうか。

残念なことに、感染症を撲滅することはできていません。新薬が開発されても、ウィルスのほうが進化を遂げ、薬剤耐性を持つため、なかなか追いつかないのです。しかし、感染拡大の封じ込め策では長足の進歩が見られます。

何よりも貨幣経済が廃止されたことで、21世紀までは「途上国」とされてきた地域でも、財政にとらわれることなく公衆衛生・医療体制を整備することが可能となり、もはや地球上に医療後進地域は存在しないと言われています。

特に従来からマラリアをはじめ、熱帯病の多発地域だったアフリカには、アフリカ全域を束ねる環アフリカ圏立の熱帯病対策センターが設置され、その附属病院・保健所がアフリカ各地にあり、予防と治療に当たっています。

また世界保健機関もかつてのような単なる国際保健行政機関ではなく、感染症専門医療チームを擁する医療機関でもあるため、一定規模の感染拡大が見られた地域には、直ちに医療チームが派遣され、実態調査を兼ねて初期治療に当たります。この医療チームはかつての国際医療NGO「国境なき医師団」を前身とするものだそうです。

こうした迅速な対処が可能になったのも、国家という枠組みが取り払われたからです。国家が廃止され、人の往来が自由になった23世紀は感染症の拡大リスクも高いのですが、一方で、国家主権にとらわれない迅速かつ広域的な初期治療対応も可能となり、感染拡大を早期に封じ込められるのです。

ちなみに、薬剤開発も今日ではグローバルに行われ、無償で供給される体制が整備されていますから、貧困ゆえに必要な薬剤が入手できないというような事態は過去の貨幣経済時代の悲劇にすぎません。
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by komunisto | 2014-08-27 08:41 | 衛生
2214年8月22日

今、23世紀からこの通信をLinuxで行っています。といっても、私がLinux好みでそうしているのではなく、23世紀に使用可能なOSはLinuxしかないからそうしているのです。すなわち、23世紀のOSはLinuxの独占状態なのです。 

このような独占状態は、共産主義的「競争」の中で、21世紀にはむしろ主流だったWindowsやMacintoshといった強豪製品が淘汰されてしまった結果です。では、どうしてLinuxだけ生き残れたのでしょうか。

その秘密は、Linuxが資本主義の時代から、ボランティアによる研究開発と製品の無償供給・更新を原則とする方針を貫いていたからです。つまり、当初から共産主義的な方針による独異なOSだったのです。

それだけに、資本主義時代には商品生産される他のOSに比べ普及率では後塵を拝していたのですが、まさに共産主義の世界が到来すると、Linuxが俄然「競争力」を発揮し、共産化に適応し切れなかった他のOSを押しのけてしまったのでした。

しかし、このような極端な独占状態は脆弱性を悪用した集中攻撃を受けやすく、セキュリティー面での不安が増大しないかとの懸念があるかもしれませんが、特別の心配は無用のようです。

というのも、現在インターネット(エスペラント語でインテレート)は、かつてのような野放し状態ではなく、「世界インテレート機関」というグローバルな公的機関が直接に管理しており、セキュリティー対策も民間業者任せでなく、この機関が一括して実施しているからです。

それに加え、商業活動の廃止により、金銭目的での不正侵入行為などが根絶されたため、一部悪戯目的の愉快犯型の不正行為を除き、サイバー犯罪自体が激減しています。

また、無償供給ゆえにかつてはサポート情報も自力で検索する必要の高かった難点は、Linux一色となったことで専用サポート窓口(もちろん無料)が整備され、解決されています。

もっとも、個人的にはOSの世界でも多様化が進み、選択に困るほどに多種類のOSが開発される世界を夢見ているのですが、OSという複雑な製品の性質上、経済体制のいかんを問わず、この分野は独占化する傾向にあるようです。
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by komunisto | 2014-08-22 13:56 | 情報
2214年8月17日

当『未来社会だより』も発信開始から1年以上が経ちましたが、ある読者より自分も21世紀の世界を脱して23世紀の世界にタイムトラベルしてみたいが、どうすればよいか教えて欲しいとのご依頼を受けました。いつか受けるご依頼だろうとは思っていました。実はタイムトラベルするには、いくつか条件があります。

一つは、21世紀の現存社会に何らのしがらみも持っていないことです。具体的に言えば、21世紀の現存社会で立派な定職に就き、家族を持ち、特別な不満は何もないという人はタイムトラベルできません。

二つ目は、100年単位で未来を構想する視点を持っていることです。逆に言えば、現在もしくはせいぜい数か月、数年先の近未来しか構想しないという人はタイムトラベルできません。

三つ目は、あらゆる常識に対して距離を置けることです。これはことさらに非常識に振舞うということではなく、例えば貨幣とか国家とかいった21世紀の世界では当たり前のものを改めて再考の必要もない当然の常識とは考えないことです。そうした常識にとらわれていると、実際、貨幣も国家もない「超常識的」な23世紀の世界にタイムトラベルすることはできません。

四つ目は、21世紀の世界を根本的に否定することです。21世紀の世界とは、すべての理想が放棄された貨幣・国家絶対の世界と言えますが、このような世界を少しでも認容する気持ちが残っていると、タイムトラベルはできません。

五つ目は、神にすがらないことです。神にすがらないとは、信仰を持たないという意味ではありません。信仰の有無にかかわらず、困った時の神頼みはしないということです。困った時に神にすがるなら、未来世界に飛ぶ必要もないので、タイムマシンに搭乗できないのです。

最後に、21世紀の世界に二度と戻らない決意ができることです。つまり、ちょっと短時間23世紀に旅行するということは許されないのです。これは初めに戻って、しがらみがないこととも深く関わります。しがらみのある人ほど、二度と戻らないという決意は鈍ります。すなわち21世紀の現存世界でのこれまでの人生ときっぱり決別できる人だけ、タイムトラベルすることができるのです。

以上の六つの条件を心理検査や面接を通じて完全に満たすと判断された人のみ、タイムトラベルの切符を手にすることができます。切符の入手方法やタイムマシンへの搭乗場所等の詳細は機密事項となっており、条件審査に合格した人だけに個別的に伝達されることとなっていますので、ここで公開することはできません。
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by komunisto | 2014-08-17 09:50 | 人生
2214年8月12日

23世紀の社会へ飛んできて最初に目に付いたのは、自販機の多さです。自販機と言えば、かつては飲料販売機が大半でしたが、23世紀の自販機は飲料よりも調味料や衛生用品を含む日用雑貨などの小物類の自販機が多いのです。

ところで、23世紀の「自販機」とは正確には「自頒機」です。なぜなら、基本物資は無償供給が原則となった現在、正式名称は「自動販売機」ならぬ「自動頒布機」だからです。

では、なぜこのように自頒機が多いかというと、貨幣経済が廃されて基本物資の無償供給が原則となったことで、商業店舗というものが消滅し、かつてのスーパーやコンビニに相当する物品供給所での供給だけではまかない切れないため、小物類は供給所へ行かなくとも自頒機で取得できるようにしてあるのです。言わば、無人供給所です。

これらの自頒機は各地方ごとに組織された一種の生協組織である消費事業組合が一括して設置管理しており、個人に管理が委託されることはありません。

こうした自頒機が街のあちらこちらに設置され、一つの街の景観となっています。それでも目障りな感じがしないのは、以前ご報告したように、美術に関心の高い時代ゆえ、自頒機もアート化していて、昔の画一的な四角い機械ではなく、個性的なオブジェ作品となっているので、目の保養にすらなるのです。

ちなみに、これもご報告したとおり、酒・タバコは厳格な規制下にあるため、酒・タバコの自頒機は一切存在しません。酒は許可された飲食供給所で一定時間内での限定供給、タバコは麻薬に準じて全面禁止です。

飲料の自頒機もミネラルウォーターやお茶類に限られ、ジュースの自頒機はありません。ジュースのような糖分を含む飲料は保健指導の行き届いた23世紀には自頒機での供給が禁止され、通常の物品供給所での供給に限られているからです。
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by komunisto | 2014-08-12 07:56 | 経済
2214年8月7日

23世紀に飛んできて初めて歯科に行くことになったのですが、医師は口の中を一目診るなり、「予防歯科にあまり行ってませんね。」と一言。21世紀までの歯科では言われたことのない苦言だったので、どういうことなのか調べてみて合点がいきました。

23世紀の歯科診療が公立診療所を中心としていることは以前ご報告しましたが、見落としていたことがありました。それは、23世紀の歯科は予防歯科と治療歯科の二段階制になっているということです。このうち、予防歯科とはその名のとおり、予防を目的とする歯科ですが、何を予防するかというと、主としていわゆる歯周病です。

虫歯と違い、歯周病は知らないうちに進行していき、悪化したときには歯を失う結果となり、歯を失うことは認知症をも促進するということから、歯周病予防が21世紀から呼びかけられていましたが、予防歯科と治療歯科が分離していなかった当時は、スローガンにとどまりがちでした。

現在、予防歯科専門の「歯科予防院」と呼ばれるクリニックが街中にも見られます。開業型の歯科医院がほとんど消滅した一方で、こうした予防院が設立されているわけです。予防歯科は歯科医師ではなく、歯科予防師と呼ばれる専門職が担当し、予防院もこうした歯科予防師が開業しているのです。

21世紀には聞いたことのなかった歯科予防師とは、歯科衛生士として一定以上の経験年数を持つ人がさらに研修と試験を受けて資格認定される上位専門職です。歯科医師ではないので、歯の治療行為はできませんが、歯科検診や口内清掃、ホワイトニングなどの予防的・審美的処置を単独でする権限を持っています。

多くの人が年に二回くらいはこうした歯科予防院に行って検診や予防的処置をしてもらうようです。もしすでに虫歯や歯周病が進んでいれば、歯科予防院から歯科診療所に紹介されます。

こうした予防歯科の利用が普及した結果、以前の日本では高齢で歯を失う割合が際立って高かったことが大幅に改善され、高齢でも歯が保たれ、結果、認知症の予防にも役立ち、健康長寿が実現されているとのことです。これも以前ご報告したことですが、23世紀は一般医療でも予防機関である保健所に外来部門が設置され、病院は最後的に利用される「最小限医療社会」が実現されていることとパラレルな現象のようです。

考えてみれば、治療とは悪いところを治すことで、それは裏を返せば悪くなるまで放置しておくということですから、体にせよ歯にせよ、悪くなってから治療すればいいという治療中心・病院依存の発想は一見合理的なようで、決して合理的ではなかったのでした。 
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by komunisto | 2014-08-07 09:11 | 衛生
2214年8月2日

23世紀の人たちは、超常現象とか心霊現象といった超科学的な現象とされるものについてどう考えているのだろうかということに興味をもって、周辺の人を含め、直接に聞いてみました。結果は、想像以上でした。

30人ぐらい聞いてみたのですが、その中でその種のものをはっきり「信じる」と答えた人は1人だけでした。その人は実は私と同様、21世紀の世界からタイムスリップしてきた人なので、除外されます。23世紀生まれで「信じる」という人は皆無でしたが、1人だけ科学的に説明のつかない現象もあり得るという科学懐疑的な答えをした人がいました。

「科学の時代」ということは、もう三世紀前の20世紀から言われていたわけですが、そうした表向きの言葉とは裏腹に、超科学的な現象を信じる傾向は21世紀になっても続いていました。200年経って何が変わったのでしょうか。

一つには科学のさらなる進歩により科学的に空白となっていた部分がいっそう埋まってきたということがありますが、それだけではないようです。まず学校での科学教育の徹底です。昔の小学校から高校までの課程に相当する13か年一貫制の基礎教育課程では、特に自然科学の土台となる物理分野の教育が徹底して行われます。

さらに、メディア報道の刷新もあります。かつては超常現象などを科学的に解明しようとするのでなく、それらが科学を離れて存在するという前提で興味本位に取り上げるようなTV番組も少なくなく、そうした番組も視聴者に大いに影響していたものと思われますが、今やその種の番組は存在しません。

その理由として、「表現の自由に関する法律(表現自由法)」という法規が存在し、その中に科学的報道の責務というものが規定されていることが大きいと考えられます。すなわち、報道者は科学的に説明できない現象について、科学的知見を参照することなく興味本位で報じてはならないというルールです。これに違反した報道をしても罰則こそないものの、報道オンブズマンという監察機関から改善命令を受けることがあります。

こうして、教育や報道の面で科学性が徹底されているため、全般に23世紀人は、「科学的に説明のつかない現象は信じない」という科学的思考習慣がごく普通に身についているようです。超科学的な現象について質問すること自体ナンセンスと感じるようで、多くは一笑に付されてしまいました。

23世紀の科学者たちは、かつて信じられていた超常現象等は、それらの存在を「信じる」という精神作用自体がもたらす感応性の集団幻視であるか、もしくは写真・映像等の人為的な加工であったと考えています。
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by komunisto | 2014-08-02 08:08 | 思考