エコロノミスト待望

「エコロノミスト」は、エコノミストの誤記ではない。エコノミストであれば、現代ではメディアでお馴染みの経済分析家のことであるが、エコロノミストは、おそらくまだそれとして存在すらしていない新しい職業である。

この語の語源である「エコロノミー」とは、「エコノミー」と「エコロジー」を掛け合わせたアメリカの国際法学者スティーブ・チャーノビッツの造語で、そこからさらに筆者がそうしたエコロジーを踏まえた経済分析家の名称として造語したのが、表題の「エコロノミスト」である。

通常のエコノミストは、天災地変や気候変動といった環境的変化を視野に入れず、経済現象だけを見て現状分析や将来予測に及ぶ。かれらの経済分析は地球には何ら自然的変化がないという不自然な観念的想定に立っているわけだが、これはまさに伝統的な「経済学としての経済学」を基礎とする実践である。

それに対して、エコロノミストの仕事は、環境的持続可能性を踏まえた経済分析である。これは、地球環境問題が重要な人類的課題となった現代において新しい経済学の分野として認知されてきている「環境経済学」の実践と言ってもよい。

こうしたエコロノミストが待望されるのは、例えば今般の総選挙でも重要な争点となった「脱原発」にしても、単に節電問題にとどまらず、原発なしで経済がどう回っていくかということについて社会科学的に信頼に値する分析は伝統的なエコノミストの仕事の仕方では不可能だからである。

そうした環境経済学的分析は今日、あらゆる経済問題に関して必須となっている。エコロノミストは環境経済学的に信頼に値する分析を提出することで、さしあたりは資本主義経済の枠内で環境的に持続可能な経済活動のあり方―その不能性をも含めて―を計量的に指し示すことができるのである。

それを超えて資本主義に取って代わり得る究極の選択肢を示すことはもはやエコロノミストの任務ではなく、エコロジストあるいはコミュニストの任務である。その意味で、エコロジストやコミュニストは政治活動家であると同時に経済分析家でもなければならないのである。
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