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笑いの再生

人間は笑う動物である。笑いは生理的―時に病理的―反応であると同時に、一つの文化現象でもある。

近年の日本では「お笑い」が花盛りで、テレビをつければお笑い番組ばかり、通常番組にすらお笑い芸人が多数進出し、お笑い系以外の出演者までもが無理にお笑い的言動をしてみせるようなご時勢である。

しかし、心底笑える「お笑い」は少ない。ただのギャグや悪ふざけにすぎない「お笑い」が多い。そこにはユーモアが欠落している。笑いの種類で言えば、哄笑や嘲笑である。

ユーモアには文化的な特色がある。日本の伝統的なユーモアは狂言や落語に見えるが、こうした伝統的な笑いと現代の「お笑い」の間には断絶がある。

現代の「お笑い」は吉本興業に代表されるような芸能資本によって商業的に生産されている。それは文化の衣を纏ったマーケティングの産物である。言わば、経済的な笑いである。

経済的な笑いは、―マルクス的な意味での労働搾取をも伴った―ひとつの商品であり、技巧的に笑いを取りにいってナンボの世界。

それに対して文化としての笑いは無償の笑いであり、そこには権力や権威、世間といったものをチクリと刺す風刺の精神がある。良質のユーモアは必ず風刺の精神と結びついている。

こうした文化としての笑いの現代的な再生を願う。それは単なる文化問題を超えて、資本主義という経済システムの変革とも密接な、文化‐経済問題でもある。