人気ブログランキング |

世界遺産考

富士山が「文化遺産」として、世界遺産に登録される。日本の象徴の栄誉を素直に喜ばない日本人は非国民扱いされかねない空気である。しかし、世界遺産という発想と制度そのものに疑問を持つことなら、許されるであろう。

そもそも富士山のような自然が「文化遺産」かどうかには大いに疑問符が付くが、それをおいても何が世界遺産に当たるのかの基準は不明確で、政略的ですらある。富士山は○で古都・鎌倉は×という今回の結果がそうした不透明さを物語る。

制度の運用のみならず、世界遺産という発想にも疑問がある。世界遺産というが、その裏には遺跡や建造物、自然景観までを観光資源化しようとの狙いが透けて見える。登録されれば観光客が落としていくカネで地元が潤う。世界遺産の正体は、観光資産だ。

世界遺産とは、文化を商品化する文化資本主義の象徴である。制度自体は1972年から存在しているが、「世界遺産フィーバー」の発生がグローバル資本主義の広がりと時を同じくしていることは決して偶然ではない。 

遺跡保存の必要性は否定されないが、その価値評価は純粋に学術的に行われるべきであり、「顕著な普遍的価値」などというあいまいな主観的基準で選別されるべきでない。 

一方、自然景観の場合は、世界遺産登録によってかえって観光客が落としていくカネならぬゴミ(廃棄物+排泄物)の増量で環境が損なわれる恐れすらあることを考慮すれば、そもそも世界遺産の概念から自然景観は外すべきものと考える。