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大学解体

2213年9月17日

「大学解体」などと言えば、20世紀学生運動のスローガンみたいですが、23世紀の未来社会ではそれが現実のものとなっています。すなわち現在、大学という教育機関は世界に存在しません。ハーヴァード大学もオックスフォード大学も東京大学もないのです。

大学という教育機関は西洋で誕生し、20世紀中には世界に広がり、いわゆる高等教育機関の代表格となりました。「大卒」は社会的に良いポジションを得るには不可欠の学歴証明となっていたため、一部の国では一流大学入学を目指す受験競争が熾烈化していました。

こうして大学は世襲身分制度が一掃された後の知識に基づく新たな階級制の土台となっていたわけですが、世界連続革命はこうした知識階級制の打破を導き、大学制度の解体へと進んだのでした。

20世紀の学生運動と違うのは、大学解体後の新しい教育制度のあり方まで具体的に示されたことです。その概要はすでに基礎教育課程と生涯教育課程を軸とする合理的な教育制度としてご報告したところです。その中で生涯教育の中心を担う「多目的大学校」は旧世界の大学とは異なることも説明しました。

では、旧大学は完全に消滅したのかと言えば、そうではありません。旧大学はそのまま「学術研究センター」という研究機関として純化されました。例えば日本の旧東京大学は現在、「東京総合学術センター」が継承しています(ちなみに有名な「赤門」も再建のうえ保存されています)。

こうした「学術研究センター」は複数の研究所の集合体として構成されており、各研究所が自前の研究員を擁しています。しかしもはや教育機関ではないので、教授という職は存在せず、かつての教授に相当するのは上席研究員です。

「学術研究センター」は研究者養成も独自に行っており、各研究所ごとに研究助手を募集します。募集に際しては所要の学識試験も課すため、かつての大学入試に似てはいますが、それはあくまでも研究員となるための就職試験の一種であり、入学試験とは異なるものです。

例えばあなたが物理学の研究者になりたいならば、東京総合学術センター理学研究所の研究助手試験を受験することができます。合格すれば助手として採用された後、先輩研究員の下で訓練を受け、研究者としての道を歩みます。

ちなみに医科大学のように専門職養成に特化した大学は現在、「高度専門職学院」という生涯教育課程の一環としての専門教育機関が継承しています。医学であれば「医科学院」と呼ばれ、例えば先の東京総合学術センターも系列の医科学院を傘下に持っています。

こうした高度専門職学院には他にも歯科学院、薬科学院、獣医学院や法科学院、工科学院、教育学院、福祉学院、芸術学院、体育学院等々様々なものがありますが、これについてはまたの機会にご報告したいと思います。
by komunisto | 2013-09-17 13:52 | 教育