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漢方医学再発見

2213年10月11日

23世紀の社会で興味深いことの一つは、漢方医学(広くは東洋医学)が以前にも増して世界的に普及していることです。といっても、漢方医学が西洋医学に取って代わったのではなく、医学の基本的な枠組み自体は西洋医学(広くは近代医学)ですが、思想的な面で漢方の影響が強いのです。

そうした漢方思想の具体的な表れとして、予診センターという制度があります。予診センターとは大規模な総合病院に設置されている院内センターで、その名のとおり、予備的な診断をする部門です。

そこでは、臓器別や疾患別ではなく、まずは体質を含めて全身的に診察され、第一次的な診断が出されます。この段階ではまだ正式な病名はつかず、ここから院内紹介の形で臓器別の診療科へ送られるのです。言わば独立した総合診療科で、現代の大病院ではこの予診センターを通らないと各診療科へは直行できない仕組みです。

これは眩暈とか頭痛のようにどこに問題があるのかわからないような症状を鑑別して適切な診療科を紹介してもらうことで、何箇所も病院・診療科めぐりをさせられなくて済む合理的な制度だと思います。一方で、目が痛いのに眼科に直行できないのは不合理とも思えるのですが、眼痛=眼病とは限らないことを思えば、予診をまず通るのは無難とも言えます。

ちなみに21世紀社会では、眼科などは開業医も多かったので、眼科の診療所へ直行することもできたわけですが、23世紀社会では、開業医はそれ自体が家庭相談医としての専門資格を要することになっており、内科とか眼科等々の特定診療科の看板は出せないのです。おまけに貨幣経済が廃され、医療も無償ですから、開業医の経済的メリットは大幅に薄れ、開業医自体少ないのが実情です。

ところで、漢方薬自体は21世紀の標準医療でもしばしば処方されるようになっていましたが、23世紀の医療では、同等の効能が得られる場合は、より副作用が少なく、患者個人の体質にも適合する漢方薬が西洋薬に優先して第一選択で処方されるようです。

こうした事情から、現代の医学教育では西洋医学と漢方医学が融合的に教えられており、医師免許試験でも西洋医学と漢方医学双方の知識が問われるとのことです。その結果、かつてよりも総合的・全人的視野を備えた医師が育ち、誤診の防止にも効果を発揮していると言われています。
by komunisto | 2013-10-11 10:05 | 衛生