合法的麻薬管理

2215年9月16日

23世紀の世界では、麻薬が合法化されている。こう書くと正確を欠くのですが、少なくとも一律に麻薬を違法とする政策は採られていません。麻薬を一律違法化すると、闇組織が横行するという過去の苦い経験に学んでいるからです。

といっても、麻薬使用が全面的に合法化されているわけではなく、世界保健機関のガイドラインに従い、嗜好としてでなく、治療目的の製造・使用のみが許されているというのが正確です。従って、麻薬の処方・調剤は麻薬専門医・薬剤師の専権とされ、それ以外の個人による処方・調剤や自己使用も違法です。

治療目的の麻薬使用が認められるのは、現在、薬物依存症は無理に完治させず、依存の軽減と薬理作用の強い麻薬(強効麻薬)から弱い麻薬(弱効麻薬)への転換を目指すという軽減・転換療法が主流化していることによるようです。そのため、治療の導入段階では覚せい剤やコカインですら、少量の処方がなされる場合もあるとのこと!

こうした治療目的の麻薬の原料は、世界保健機関の下部組織である麻薬管理委員会が認定した特別農場でのみ栽培が許されており、不法に流出しないよう厳重に管理されています。また麻薬の製造・供給も世界保健機関の計画に従い、世界規模で調整されています。

このような合法的麻薬管理政策のおかげで、23世紀の世界では麻薬カルテルのような犯罪組織は一掃されているのです。ただ、麻薬を不法に栽培・所持したり、譲渡したりした者がたまに検挙されることはありますが、単発的な出来事にすぎないようです。

とはいえ、以前のたよりでも報告したように、23世紀の世界では酒・タバコが厳格に規制され、特にたばこは全面禁止されていることと対比して、麻薬合法化には釈然としない感もありますが、23世紀人に言わせれば、社会的なコストにかけては酒・タバコの害のほうがはるかに大きいとの考えに基づくのだとか。

これも時代の意識の変化ですが、たしかに、21世紀を思い出すとアルコール・ニコチン依存症者のほうが麻薬依存症者よりはるかに多く、特にタバコは非喫煙者にまで及ぶ間接喫煙の害も考慮すれば、先のコスト計算もいちおう納得です。
[PR]
by komunisto | 2015-09-16 07:18 | 衛生