人気ブログランキング |

勲章なき世界

2215年11月3日

今日11月3日は、そちら21世紀の日本ではまだ「文化の日」ですね。まだと言ったのは、こちら23世紀の日本では11月3日はもう祝日ではないからです。以前のたよりでもご報告したように、23世紀の公休日は春夏秋冬ごとの大型バカンスを基本としています。

ともあれ、旧「文化の日」の恒例行事は文化勲章授与式でした。実は、23世紀の世界にはこうした叙勲の制度も存在しないのです。勲章目当てに頑張っている方は消沈するかもしれませんが、世界革命は一代限りの勲章という制度も廃止に導きました。

例えば、日本領域圏の憲法に相当する憲章には、「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、これを行なわない。」とあります。ちなみに、旧憲法(そちらでは現憲法)では、「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」とされていました。両者比較すれば、違いは一目瞭然です。

この規定のおかげで、現在では文化勲章のような学術・芸術的な叙勲だけでなく、政治や行政、経済などの分野での功績を理由とした叙勲も廃止されているわけです。

叙勲とは君主が臣下に栄典を与えることで、元は世襲であったのが、民主化が進むと一代限りの栄典となり、そしてついに一代限りの栄典すらも廃止となったのです。漸次身分制が廃止されていった時代の流れとも言えるでしょう。

では、文化勲章に相当するような賞は一切存在しないかと言えば、そうでもなく、学術団体ないし芸術団体が高い功績を上げた学者や芸術家に授与する賞があり、そうした有力な賞の受賞者はかつての文化勲章に匹敵する栄誉を得ているようです。

学術や芸術分野の業績の表彰は本来、国や公共団体が政治的・行政的に行なうよりも、各専門団体がその専門的な知識・経験に基づいて自主的に行なうのが最も正確かつ公正なのですから、このような23世紀的な表彰のやり方は、大いに合理性があるように思われます。
by komunisto | 2015-11-03 13:58 | 文化